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「ふう、まだ寒いな・・・」 何度目かの家庭教師を終え帰路につこうとしたその時、 「おにぃちゃん」 掛けられた声に振り向くと、五更珠希――――日向の妹が玄関からちょこんと顔を出していた。 「ん?どうしたの珠希ちゃん?」 俺がそう声を掛けると、珠希はててててっと俺のすぐ傍まで走ってきた。 相変わらず可愛らしい擬音の似合う娘だな。 「あのですね・・・」 「うん、なに?」 「どうしておねぇちゃんとちぎりをむすんでいたのですか?」 「・・・ごめん珠希ちゃん。ちょっとお兄ちゃんにもわかるように言ってくれるかな?」 俺は視線を合わせるようにしゃがみこむと、意味不明の単語に疑問符を浮かべる。 契り?結ぶ? 以前黒猫と付き合ってる時に聞いた言葉だが・・・ん?いや、いやいやちょっと待てよ!? あれは確か初めて黒猫の家にきて、日向と珠希に会って・・・そんで・・・ああっ!! 「ちょちょっと待った珠希ちゃん!」 「えーと・・・どうしておねぇちゃんと、ちゅーしていたのですか?」 やっぱりだーっ! 「み、みてたの?」 「はい」 にっこりと笑いながら無邪気に答える珠希。 そういや俺の家庭教師中、この子どこに居たんだ? 「珠希ちゃん?」 「はい?」 「お兄ちゃんと日向ちゃんがお勉強してる時、珠希ちゃんはどこに居たのかな?」 「おねぇちゃんに言われておへやにいました。おねぇちゃんが『こうさかくんはあそびにきてるわけじゃないんだから、たまちゃんはおへやから出ちゃだめだよ?』ていいました」 あーいーつー! 追い出し方がまるっきり黒猫とおんなじじゃねーか!! それで失敗した姉の姿をお前は知ってるだろう張本人! 「でもやっぱりおにぃちゃんにあそんでもらいたくて、え本をもっておへやをでてしまいました」 悪いことをしたんだと思ってるのだろうか、珠希は少ししゅんとしているようだった。 まったく。 「ごめんな珠希ちゃん。これからは一緒に居ていいからね?」 「・・・いいですか?おねぇちゃんおこりませんか?」 「怒るわけないだろ?今まで日向ちゃんが怒ってるとこ見たことあるか?」 「・・・ないです」 だよな。 日向はなんだかんだで珠希には大甘だからな。 「だったら平気だ。なんなら俺から日向ちゃんに言っておいてやる」 「ほんとですか!?」 「ああ」 笑いながら頭をなでてやると、パアッと顔を明るくして珠希が抱きついてきた。 「うれしいですー」 「はは、これからよろしくな」 しかし本当にうちの妹とは別もんだな・・・。 なんか悲しくなってきた。 「それでおにぃちゃん?」 「ん?なんだ?」 「どうしておねぇちゃんとちゅーしてたんですか?」 忘れてたーっ!! 今それ聞かれてたんだよ俺っ! 「あー・・えーっと・・・」 なんて言う!?考えろ俺っ!! 「えーっと・・・こ、これからも仲良くしようねっていう意味でしてたんだよ?」 「?」 「ほら今、俺は日向ちゃんに勉強教えてるだろ?だから喧嘩しちゃったらできないだろ?だから仲良くしようねって意味でしてたんだぞ」 どうだこの言い訳! 一瞬で考えたとは思えないだろ!? 伊達に理不尽な妹や電波の元彼女、ちょっとヤンでる中学生に鍛えられてないっての! ろくな奴いねーな俺の周り・・・。 「へええ」 「わ、わかってもらえたかな?」 「はい!」 珠希はぐっと拳を上に突き出して全身で肯定を表した。 はは。ホントに可愛いなこいつは。 「じゃあわたしにもちゅーしてくださいおにぃちゃん」 「なんでそうなる!?」 えーっ!?なに言っちゃってんのこの子!? 「ど、どうしてかな珠希ちゃん?」 「わたしもおにぃちゃんとなかよくしたいです」 ニコッと珠希が笑って言った。 あーそっかそっかそーきたかー。 なるほどな―そりゃそうなるか―・・・って俺のバカー!! 「えーとえーと・・・」 「・・・なかよくするのいやですか?」 泣きそうな顔やめてっ! あーもう。 これ一回だけ・・・これ一回だけ・・・。 「・・・おねぇちゃんには内緒にできる?」 「?ないしょなんですか?」 「そう。できる?」 「んーと・・・はい!ないしょにできます!」 「よし。じゃ・・・目瞑って・・・」 「はい!」 ん、と素直に目を瞑る珠希。 こうして見るとやっぱ似てんだよなこの三姉妹。 やっぱ可愛い・・・って、さすがに珠希はヤベーだろ!? いかんいかん・・・変な気持になる前に・・・。 ちゅ。 「・・・はい。もう目、開けてもいいよ」 「はい・・・えへへ」 少し照れくさそうに笑う珠希はギュッと俺に抱きついてきた。 「えへへ、おにぃちゃんだい好きです」 「はいはい、俺も大好きだよ」 「・・・なにをしているのかしら?」 後方からの声に、ポンポンと珠希の頭を叩いていた手が一瞬で硬直する。 ちょ、ま、このタイミングで・・・? 「あ、姉さま」 黒猫登場かよ!? 「よ、ようおかえり・・・」 俺はギギギッと油の切れた人形のような動きで首を後ろに向けた。 「ええ、ただいま。で?もう一度聞くわ。なにをしていたのかしら?」 「た、珠希ちゃんとスキンシップ?」 「・・・アパートの廊下で?」 「か、帰ろうとしたら、珠希ちゃんが出てきちゃって・・・」 「へえ・・・そうなの珠希?」 「はい!」 「・・・嘘じゃないわね?」 「はい!姉さま」 黒猫の言葉に元気よく返事する珠希。 「ふぅん、そ」 珠希の言葉に、不承不承といった体で納得する黒猫。 やっべー! 間一髪だったよ今俺! 見られてたら完全にアウトだったよ!! ありがとう珠希! 「おにぃちゃんにチューしてもらいました!」 「うおおおい!言っちゃうのかよ!?」 さっきお兄ちゃんと約束しただろ!? 「?・・・おねぇちゃんには言ってませんよ?」 頭にはてなを乗っけたまま珠希は、間違ってないよね?てな風情で聞いてきた。 あーそっかー、そうだよねー。 おねぇちゃんは日向であって、黒猫は姉さまだもんねー。 そっかそっかーあははは。 「・・・先輩?」 「はいぃ!!」 「・・・ちょっと・・・お話をしようかしら?」 やばい。 これ俺死んだね。 だって黒猫の目に・・・光彩がねーもん 「珠希は先に帰っていてちょうだい」 「はい姉さま」 ててててっと、出てきたときと同じように走り去ると、玄関に入る直前俺を振り返って珠希はこう言った。 「またですおにぃちゃん」 ほわんとした笑顔で手を振ると、パタンと扉を閉めた。 ふるふると手を振り返しながら、俺は心で呟いた。 珠希ちゃんごめん・・・。 「・・・さ、先輩?行きましょうか・・・?」 次は・・・ないかもしれん。
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1290468634/8-12 「今日のところはあなたの言い分を聞いてあげてもいいわ。 最後のところだけは遠慮させてもらうけれど」 「どうだか。エロゲーだったらCG回収決まったようなもんよ」 そう言って彼女はノブを回す。今日はあなたの勝ち逃げね。 ドアを開け颯爽と去る彼女。 「うわらばっ!!」 訂正。彼女がドアを開けると外にいた何かにドアがぶつかった。 「ってー… お前は俺にドアぶつけないといけない病気でもあんのかよ…」 鼻を押さえながら現れた人物は渦中の人、高坂京介だった。 「黒猫悪い!待たせた!」 先輩は部屋の中にいる私に気付くと、手を合わせて謝るポーズを取る。 彼が持っていた袋がゆらゆらと揺れた。 「な、なんでこんなに早く帰ってきてんの!?」 彼の妹は狼狽し、怒鳴りつける。 「その、なんだ…やっぱ黒猫を待たせるのも悪いと思ってな。 近場のコンビニ行ってきた。だから…」 先輩は私の方をチラッと見て、彼の妹に耳打ちする。 私に聞かれるのは都合が悪いのかしら。 でも、少しは事情が分かった。 あの女が何かしらを吹き込み先輩は買い物に行ったわけね。 どうりで遅いはずだわ。 このタイミングで彼が帰ってきたのは、誰かにとっては予想外だったみたいだけど。 ふと思案に耽っているうちに、兄妹の秘密の会話は終わったらしい。 片方はばつが悪い顔、もう片方は不機嫌そうな顔をしていた。 「…ってかもうそんなのいいし。アタシ外行くから」 「あ、おい!」 先輩の脇を潜り抜けようとする高坂桐乃。 しかし、彼女は先輩に腕を掴まれ、再び私の視界からいなくなることに失敗した。 「ちょ、まだなんか用あんの!?さわんなシスコン!」 「いや、俺も離したい…っていうか見なかったことにしたかったんだが…」 「は?何言ってんの?」 意味不明と怒る彼女に、先輩は脂汗を流しながら掠れた声で言った。 「お、お前…なんで俺のパンツ持ってんの?」 空気が凍る。 さ、最悪だわ… このパンツはどこまでこの場を掻き回せば気が済むの…! 今度のゲームのラスボスを、穢れた布切れにしてしまいたくなるほどの邪悪だ。 「か、こ、っここ、これは」 パンツを片手に持つ女はがくがくと震えている。 彼女の頭の中は、パンツ補充をしていたあの時よりも混沌が広がっているに違いない。 「せ、先輩!それは…」 見かねて思わず声をかける。この事態を招いた責任の一端が私にもあるからだろうか。 「そ、それは…?」 怯えた様子で先輩が話しかける。 ど、どうすればいいの… 大まかに言うならば…あなたのパンツで修羅場を繰り広げてました。 …酷すぎるわ。私なら卒倒する。 彼女を貶める言い訳も論外だ。借りを作っておいてそんな真似できない。 となると…道は一つしかないじゃない。 もともと私が背負うはずの業なんだもの。自分の不手際の始末は自分で… 「わ、私が」 「これはぁ!!!」 私の声を掻き消す大声が上がる。 驚き、声の方を見張るとそこにはギラついた眼。 『余計なことすんな!』 言葉を聞かずとも彼女の眼光はそう語っていた。 高坂桐乃は先輩の手を振りほどき、パンツを両手に持つ。 「アンタらがキモくてウザくてイラつくから…」 わなわなと震え、両手に力が込められる。 「おおお前、何をっ!?」 「や、やめなさい!」 それは、あなたの大事な…! 「ストレス解消にっっっ………使わせてもらうのよっ!!!」 咆哮と同時に真っ二つになるパンツ。 二人の女を振り回した欲望の布は、現所持者の手によって儚くも散った。 「俺が何したっていうんだ…」 部屋にはorzとうなだれた先輩と、呆然と立ち尽くした私が取り残される。 先輩を嘆かせている女は、パンツを破った後さっさとこの家を出ていってしまった。 「また喧嘩でもしたのか?」 「…そんなところよ」 そういう話ということになったものね。 「いくらイライラしてたからってよ…流石にいじけるぞ… ノーパン貴族になっちまうぞ…」 「先輩、落ち込みすぎて意味不明なこと口走っているわ」 うな垂れる先輩を見ながら、私はいけ好かない茶髪女のことを想った。 あれが、先輩から拝借したパンツならば。 自分のコレクションを自らの手で葬り、 大好きな兄を他の女と二人きりにさせたことになる。 …まさに踏んだり蹴ったり。間違いなく厄日だわ。 あの女が辛酸を嘗めるというのは、いつもなら胸がすくようなものだけど… 生憎、そういう気分じゃない。 今日は先輩と貴重な時間を過ごす予定だったけど、 このままでは素直にこの時間に浸れない。 「…今日のところは踏むだけにしてあげるかしら」 「踏むの!?」 四つんばいのまま顔を上げる先輩。 「独り言よ。あなたの趣味ならば、そうすることもやぶさかではないけれど」 「ねぇよそんな趣味!紛らわしいわ!てかそんな独り言初めて聞いたぞ!」 「いちいち煩い雄ね…」 どこまでも喧しい兄妹だわ。思わずため息が出る。 さて、さっさと借りを返しに行くかしら。 あの女と私の間にそういうものは必要ないもの。 「先輩、ゲーム制作はまた後日でもいいかしら」 「ん?ああ。別にいいが…じゃあ何するんだ?」 「そうね。せっかく犬みたいな格好をしているのだし、 今日は散歩でもしましょうか」 「しかしアイツがイラついてる時に行く場所っていってもなぁ。 前はゲーセンにいたけど、今日もいるかは分からないぞ」 「心当たりがあるだけ十分よ」 並んで歩く先輩が難しい顔をしている。 私達が今いる場所は駅前の商店街。 学校から帰る途中で寄り道をしている学生や 夕食の買い物をしに来た主婦でにわかに賑わっている中を、 真っ直ぐ目的の場所に向かって進む。 「よしんばいたとしても…その…」 「気まずい?」 「まぁな。というか、どういう顔して会えばいいか分からん」 それはそうね。 パンツ引き裂き女と遭遇した時の対処法なんてどんな文献にも書いていないでしょうし。 「いずれにしろ家で会うのよ?一人より二人で会う方がまだマシだと思うけど」 「まぁそれはそうなんだが…」 未だにうーんと呻る先輩。 「…大丈夫よ。あなたはあの女の優しい兄さんだし、 気に食わないけど私は友人だもの。なるようになるわ」 「黒猫…」 きっとなるようになる。 今日あんな事が繰り広げられても、私達の仲は狂わなかったのだから。 そんなことを考えているうちに、私の視界に目的地のゲーセンが見える。 「…アレ、そうだよな?」 「ええ、見てすぐに分かる醜悪さだわ」 遠目からでも分かる。間違いない。 ゲーセンの目の前まで行くと、 私達の視線のすぐ先には一心不乱にバチを振り回し、太鼓○達人をプレイしている茶髪女。 「なんかデジャヴが…あ、おい」 立ち止まった先輩を尻目に、私は歩を進める。 ぶち切れ女子学生を見物していた人間の横を通り抜け、彼女の後ろに立った。 …私達がこんなところにいるって分かったらどういう顔をするかしら。 その顔を想像したら思わず笑みが浮かぶ。 彼女がプレイ中の曲が終わると同時に、 私は肩を揺らす無様な後姿に、心を揺さぶるであろう呪詛を投げかけた。 「お粗末なバチ捌きね。魅せプレイというのを教えてあげるわ」
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その日、私は初めて絶頂を識った それも、愛する人の手で 彼は私を辱め、私を貪り、私の・・・の処女を奪っていった だけど・・・ だけど、本当の意味で私を女にしてくれることは無かった どうしてなのかしら きっと、あの女のせいなのね 彼と一つ屋根の下に住む、あの女 勇気を出して初めての告白をしようとしたあの時も、 わたしの前から彼を奪っていった、あの女 だから・・・ だからわたしは、彼に「呪い」をかけたのだ * * * すっかり風邪の治った私は、呪いの効果を確かめるため、先輩の様子を見に行った いつものようにベルフェゴ・・・田村先輩とイチャイチャしている ○○○死ね、といいたい処を、ぐっと我慢する 死なれたら、呪いが叶わないじゃない 「ゲホ、ゲホ、」 ほうらね、効果はてきめん、しっかり呪いが効いたようね ほんの少し頬が赤くなるあたり、わたしと同じ症状ね 「大丈夫ぅ?きょうちゃん」 田村先輩が彼に心配そうに声をかけるが、ああ、なんとかな、と、ぶっきらぼうに答える彼は、田村先輩に心配をかけないようにしているのだろう 何処までもお人よしというか、 「もし、良かったら、きょうちゃんのお家にかんびょ・・・」 もじもじした声で田村先輩がわたしの先を越そうとしているのがわかった くっ、やはり、魔王のやることは・・・ 「こんにちは、田村先輩」 けん制のために田村先輩に声を掛ける 激しい咳で彼は彼女の台詞を聞き取れなかったらしい 流石だわ、わたしの呪いは彼の意識をも奪いつつあるのね! 「こんにちわ。黒猫ちゃんも、いま帰り?」 黒猫・・・だと? ベルフェゴール!貴様、この夜魔の女王を、彼の妹の友人に封じ込めるつもりか!? 今のわたしは五更瑠璃、高坂先輩の後輩なのよ 「高坂先輩は風邪ですか?田村先輩も気をつけたほうがいいですよ」 わたしの呪いは、彼だけのもの 貴女なんかにくれてやるものでは無いわ * * * そうして分かれ道で、先輩達はじゃあな、と、お互いの家に向かった わたしは、自然と高坂先輩の後についていった え?といった表情を、まず田村先輩が、次に高坂先輩が浮かべた 「約束しているのよ。だから、ついでに送っていってあげるわ」 わたしが先輩の妹の友達であることは、二人は知っている おそらく、彼女との約束だと思い込んでいるようで、田村先輩は笑顔で私にきょうちゃんをよろしくね、と、言ってきた 自分が本妻だ、という余裕のつもりだろうか 高坂先輩と彼の家に向かいながら、様子を見る ゲホ、ゲホ、と辛そうにしている ……少し、効きすぎたのだろうか? 「桐乃と約束でもあったのか?」 無神経にあの女の名を出す彼は、本当に鈍感なのね 「ないわ、そんなもの。ひとつ貸しって言っておいたでしょう?」 イマイチ彼には伝わっていないようなので、直接的な表現に出た ちりめんの手縫いの巾着袋から、銀色のパッケージを取り出す 「昨日の事なのに、もう忘れたのかしらね?」 一瞬、くらっとした先輩の手をとり、こういった。 「早く帰りましょう、兄さん。ちゃんと私が治してあげるから」 * * * 先輩の家にたどり着く さっきより彼の様子が思わしくない 呪いが効きすぎたのだろうか これでは、想いが叶えられるのか怪しくもある ふらつく先輩の手をとり、彼の部屋に導く 最近頻繁に出入りしているため、彼のお母様はだんだん私のことを気にしなくなった 当初は先輩の新しい彼女と誤解していたようだが、あの女が帰ってきてから、共通の友人という事は理解したらしい ただし今はあの女に出てこられるのは、困る 念のため、靴を隠し、足音を消して彼の部屋に向かう * * * よろける彼を、彼のベッドに導く 発熱と咳で、弱っているのがあきらかだ わたしの言うがまま 「あらあら、いい様相ね。お疲れのところ悪いけれど、貸し、返してもらわなくちゃね?」 肝心のときに雄々しい彼も、今は少し、弱気のようだ 「黒猫、お前、何するつもりだよ?」 彼の呼び方に残念さを覚えた。 「瑠璃、って呼んで頂戴?あなたには、真名を教えているのだから」 「あ、ああ、五更。すまないな。で、おまえ、それでどうするつもりだよ?」 瑠璃と呼んでもらえないらしいのが、悔しかった あの女はちゃんと下の名前で呼んでもらえるのだろうに 「ふふ、どうして返して貰おうかしら」 悪戯じみた声で、彼に応え、携帯を見せる 「拒否権はないわよ。もし貴方がわたしに従わないときは桐乃にメールがいくようになっているの。それと、変な事をしてもすぐ伝えるわよ。緊急回避ボタン、かしらね。くっくっく」 * * * 困り果てた表情で、彼は言った 「五更、おれ、マジで限界みたいなんだよ・・・」 「ふふ、それ、わたしの呪いのせいだから、当然よ」 「っていうか、風邪がうつっただけだろ?」 「違うわ。呪いよ?さあ、この薬を・・・そうね、まずは飲むと良いわ」 銀色のパッケージの薬を口に含み、彼の口に移す 「どうかしら?このお薬、身体の力が抜けるはずなの」 暫くすると、彼の身体の力が少しずつ抜けつつあるのが見て取れる 「くっ!」 先輩が、力なく、ベッドに倒れこんだ。 これ、ただの風邪薬なのに。意外と思い込みが激しいようね * * * 「先輩、いえ、兄さん、のほうが良いかしら?お薬はもう一つあるのよ?」 同じく銀色のパッケージ、ただし今度はかなり大きなものを取り出す。 「同じ風邪みたいね?だったら、同じ治療が必要よ」 「五更、うそだろ!?」 「いいえ、必要なことなのよ?さ、パンツを下ろして?」 一旦は拒否のしぐさを見せたが、すかさず携帯の送信ボタンに指を伸ばす その場合に起きる出来事を想定してか、彼はわたしに言われるがままにパンツをおろし、臀部を露出させた やだ、男の人のお尻って、綺麗なのね・・・引き締まっていて でも、お薬を入れるには、この姿勢は無理があるわ 「先輩、仰向けになって脚を開いて頂戴?でないと、入らないから」 「おい、嘘だろ、幾らなんでも、それはないだろ!?」 「あら、昨日貴方がわたしに何をしたのか忘れていて? あら、貴女の妹さんの足音が聞こえたわ?隣に居るのではなくって?」 その一言でおとなしくなる彼に、結局あの女なの?という口惜しさとともに、嗜虐心をそそられる * * * 仕方無しに脚をMの字に開く彼の姿に、さらに火がついた 「くっくっく・・・無様ね・・・しかも、貴方のもの、随分と粗末じゃあないの」 「う、うるさい!風邪引いてるのに元気な奴がいるかよ」 「あらあら、体調がよければ欲情して漲ってしまうのかしら。本当に貴方は歪んでいるのね」 「いや、歪んでいるのはお前だろう」 パシ! 彼の頬に平手をくれてやる その瞬間、彼のものが反応した わたしはそれを見逃さなかった 「本当に変態さんなのね?妹さんが隣の部屋に居るというのに?でも、そうね、貴女たちは兄妹で妹モノのエロゲーをやる変態さんですものね?」 わたしの言霊の一つ一つに、彼の身体と心が反応するのがみてとれる これが民俗学で言うところの妹の力というものなのかしら?(違います) 「さ、今度はわたしの番。ゆっくり、可愛がってあげるから」 * * * パッケージを剥いて、座薬の解熱鎮痛剤を取り出す 彼の中に入れやすいように、すこし口に含む わたしの唾液で濡れたそれを、彼の穴にあてがい、少しずつ挿入を試みる しかし、私を拒むかのようにそれは入っていかないのだ 「兄さん、力を抜いて頂戴?これでは治療ができないじゃないの?」 「う、そ、そんな事いわれてもだな・・・」 仕方がない 半勃ちの彼のものを口に含む 「むぶ」 不細工な声をあげて、一瞬彼の身体がこわばる 「黒猫、おまえ、何するつもりだよ!?」 「あら?子猫にはミルクをあげるものではなくって?」 ことさら、彼の羞恥をあおるように、音を立てて彼自身にむしゃぶりつき、それを味わう 「ふふ、しょっぱいわね。もっと、綺麗にしないとねぇ?兄さん」 わたしはそれに吸い付き、甘噛みし、ねぶり、しゃぶりつくし、さらに彼の物の興奮を誘う 私自身も自然と牝の匂いを発してしまっている おそらく昨日覚えたばかりのその匂いに、彼の興奮がますます高まるのを、口腔の粘膜で確認する 「兄さんは匂いが好きなのね、ふふ、本当にどうしようもない変態さん」 さらに激しく彼のそれを責め立てると、彼の全身に緊張が走り、彼の全てが弛緩した その隙をみて座薬を挿入する * * * わたしの口腔内に、彼の大量の精液が吐き出された わたしはそれをいとおしむように味わう これが、彼の味なのね ねっとりとしたそれを味わっている私を見て、彼は力なく言う 「お前、実はとんでもないSだったのかよ!?」 「そうかもしれないわね?でも、貴方、見込んでいた通り、本当にドMね。もっとも、あの妹にして、この兄あり、かしらねえ?」 彼を飲み干して、くっくっく、と、意地悪く笑いながらわたしは答えた 「く、黒猫、おまえなあ・・・」 彼の情けない表情が、もはや愛らしい あはは、と、声をあげて笑った瞬間、彼が反撃を試みる 「「あ゛」」 思わず、手に持っていた携帯の送信ボタンを押してしまった * * * ドタドタドタ 廊下に足音が響いた後、バタン、と、彼の部屋のドアが開いた はぁはぁ、と、息を切らしながら、あの女が来た 「ちょっと、アンタ、わたしの友達に何かしてないでしょうね!?」 「な、なにいってんだよ?俺がおまえの友達に何かするわけないだろう!?」 彼が言った 「そうね、彼は、なにもしてないわよ?貴女のお兄さんが風邪を引いたから、後輩としてお見舞いに来ただけよ?」 そう、彼は、何もしていない 「ふぅん」 ジト目で彼を一瞥したあと、彼女が言った 「まあ、いいわ。 それより黒猫、あんた折角来たんだからあたしの部屋に来なさいよ。 シスカリの対戦するのよ。 もち、ハンデ戦よ。ハンデありまくり。 松戸ブラックキャット(笑)様なら当然よね!」 まったく、この女は・・・ 「いいわよ、貴女にわたしが負けるわけがないじゃない?」 そうして、わたし達は彼の部屋を後にした それにしても、布団一枚でその下は下半身を露出した変態さんは、そのあとどうしたことだろう。
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1289713269/690-693 トラブルってやつは前触れも無くやってくるものだ。 ここ一年で、主に妹から唐突に持ち込まれるトラブルにも大分慣れてきたつもりだったが、正直今回のような事態はまったく想定外だった…。 その日は期末考査最終日で、昼過ぎに帰宅していた。いつものようにただいまと声を掛けたが、家には誰もいなかった。 「ああ今日からだったな…」 今日から三日間、両親は親戚の十三回忌に出るため家を空ける事になっていたったっけ。 空腹を抱え冷蔵庫を漁るが、昼飯になりそうなものはなかった。お袋…俺今日は昼に帰るっていったよね?息子の昼飯準備する気ナッシングですか!? 俺は昼飯を求め台所中を探索し、戸棚から日清ラ王と袋入りのチキンラーメンを発見する事に成功した。 ポッドの電源も抜かれていたのでケトルで湯を沸かす事にした。少々迷ったが俺はラ王を食べる事にした。 封を切り中身を取り出しながら、もうすぐラ王が終売になる事を思い出した。かつては生麺タイプのカップラーメンという事で、既存のカップラーメンより高級感を感じさせる事が売りだったラ王。 しかし今やコンビニやスーパーでも生タイプのラーメンやそばが売られているご時勢で、普通のカップ麺より高く、乾燥かやくや粉末スープという半端な構成のラ王は過去の存在になりつつある。 手軽に食べられる生麺というジャンルが広く浸透し市場を定着させた時に、ラ王は既に役割を終えていたのかもしれない。 そしてふと桐乃の事を考えた。あいつの「人生相談」から始まったこの一年、様々なトラブルに巻き込まれた。 場合によっては自分から首を突っ込みにいったりもした。新しくできた友人達の手も借りながら、なんとか解決してきた。 でも…もういいのかも知れない。沙織も黒猫もそしてあやせも、本来「桐乃の」友人だ。なし崩し的に俺個人との付き合いも続いているが、普通に考えたら友人の「兄貴」がグループに混ざっているのはイレギュラーな事だ。 もちろんあいつらの事が嫌いなわけじゃない。けど桐乃が持ち込むトラブルとあいつらの優しさに甘えていたんじゃないだろうか? 沙織と黒猫という同じ趣味を持つ友人を作り、あやせとの崩れかかった友情を修復した時に俺の役割は終わっていたんじゃないのか? ピーッ そんな事をぼんやりと考えていた俺の意識をケトルの笛が呼び戻した。 出来上がったラ王に箸をつけようとした時に携帯が鳴った。あやせからだった。 渋々箸を置き、電話に出た俺の耳に信じられない言葉が飛び込んできた。 「桐乃が怪我……!?」 指定された病院に駆け込むと、待合室であやせが待っていた。 「お兄さん、こっちです!」 「あ、あやせ!桐乃は!?」息せき切って俺は尋ねた。電話でのあやせは動揺していて、桐乃が怪我をした。とにかく病院に来てくれと繰り返すばかりで、俺も詳しい情況を把握していない。 「こっちです」 あやせは俺の手を握ると廊下の奥へと歩き出した。そして歩きながらぽつりぽつりと事故の様子を話してくれた。 下校中の歩道橋で足を滑らせ頭から落ちた事。意識を失い目を開けなかったので慌てて救急車を呼んだ事。 「怪我は頭に軽いこぶができた位で、意識もすぐに戻ったんですけど…」 あやせは一つの病室の前で立ち止まるとこちらを向いた。 「あの…驚かないで下さいね?」 「桐乃!」 あやせのいまいち要領を得ない説明に不安を煽られ、俺は病室に飛び込んだ。 病室は個室だった。ベッドの上には上半身を起こした桐乃がおり、脇には医者と看護婦(いや今は看護士って言うんだっけ?)が控えていた。 桐乃は、扉の開く音に反応したのかこっちを見ていた。事故にあったのがショックだったのか不安気な表情を浮かべたまま俺を見つめていた。 と、その表情がみるみるうちに満面の笑みに変わると桐乃は 「おにいちゃんだ~!!」 ベッドを飛び降りるないなや、俺の胸に飛びついてきた!え?何?これ新手のドッキリ? 予想外の展開に呆気に取られていると、医師が声をかけてきた。 「ご家族の方ですか?」 「は、はい。兄です」 「桐乃さんの容態についてご説明したいのですが、診察室の方までよろしいですか」 「はい、わかりまひたぁぁ!?」 別にアヘ声を出したわけではない。桐乃が突然俺の頬をつまんで引っ張ったのだ。 「何すんだよ!」 慌てて桐乃の手を引きはがし、軽く睨むと 「えへへ~」 と無邪気に笑い返してきやがった!おかしいよ!この娘なんかおかしいよ! 「き、桐乃?俺、先生からお前の具合聞いてくるからちょっと待ってろよ」 「や~、おにいちゃんといっしょにいる~」 そう言いながら、俺のYシャツをキュッと掴んで離さない。困惑している俺を見兼ねたのか、あやせが助け舟を出した。 「桐乃、お兄さんね、お医者さんと大事なお話があるの。すぐに戻ってくるから、それまでお姉ちゃんと遊んで待ってようか」 「え~でもぉ…」 俺とあやせを交互に見ながら逡巡する桐乃。すかさずあやせが畳み掛ける。 「桐乃はいい子だから、お兄さんを困らせたりしないよね?ちょっとの間我慢できるでしょう?」 「……うん、わかった…」 そう言うと桐乃は俺から離れると、あやせに手を引かれチョコンとベッドに腰を下ろした。 俺は医者に促され「おにいちゃん!はやくもどってきてね~」という声を背に病室を後にした。 まったく、どうなってんだろうね一体。 「幼児退行!?」 医者の口から語られた内容に、俺は間の抜けた声を出した。 いわく、頭を打ったショックが原因で一時的な記憶の混乱が起きてる。自分を六歳児だと認識している。ただし断片的に現在の記憶も持っている。 「そんなマンガみたいな…」 「エロパロ板で有り得ないという事は有り得ない!」 「え?」 「失礼。桐乃さんはあなたを瞬時に見分けましたね。意識が完全に六歳児ならあなたを判別できないはずです。記憶が混在していると言ったのはそういう事です」 ともかく、外傷も軽く脳波の検査でも異常は見られないという事で帰宅しても構わないという事だった。 病室に戻ると、桐乃とあやせはしりとりをしていた。 「ん~とね……ぴあす!」 「じゃあ、西瓜」 「か、か…かりびあんこむ!」 「桐乃、何それ…」 「んとね~…わかんない!」 OK。確かに記憶が混在してるようだ。つーかよりにもよってそれかよ! 放っておくと、あやせの前で俺のシークレットファイルが次々と開示されそうなので、しりとりを止めさせる事にした。 「待たせたな桐乃。さぁ家に帰ろうか」 病院を出た所で俺はあやせに礼の一つも言っていない事に気付いた。 「あやせ、今日は本当にありがとな。俺一人だったらどうしていたらいいか分かんなかったよ」 「いえ私こそ…要領得ない電話でお兄さんを驚かしたみたいですみませんでした。でも桐乃の怪我が軽くて本当によかった。記憶の方も家に帰ってお父さんやお母さんの顔を見たら落ち着くんじゃないでしょうか」 その言葉に俺は両親がいない事を思い出した。その事をあやせに説明すると 「今日から桐乃とお兄さんが二人っきり………!?」 人を性犯罪者を見るような目で見るのは止めてくれませんかあやせさん…。結構傷つきます。 「まぁそれはそれとして…ご飯の支度とか大丈夫ですか?」 あぁ飯か…。ファミレスか出前で済まそうかと思っていたが、そんな感じでもなくなったし 「まぁなんとかするよ。チキンラーメンの買い置きもあったし…」 「チキンラーメン!?夕食がチキンラーメン!?」 そう答える俺を、あやせは今度は狂人を見るような目を向けてきた。まぁさすがに、夕食がチキンラーメンだけじゃ侘し過ぎる。栄養バランスも悪いし。あやせもその辺が気になったのだろう。 「大丈夫だ、ちゃんと卵も落とすし…」 「そういう問題じゃありません!!」 カミナリが落ちた。そ、そんなに肩で息をするほど興奮する事か?呆気に取られている俺にあやせは宣言した。 「こうなったら桐乃とお兄さんのお夕飯は私が作ります!」 ……………え? 「今の桐乃は六歳なんですよ。ご飯の支度だけじゃありません。お風呂や着替えなんかお兄さんが一緒にするわけにいかないでしょう。まぁやるといっても私がさせませんが」 ああ確かに。さら続けて 「わ、私だってお兄さんと一つ屋根の下で寝起きするなんて危険な事したくないですけど、これも桐乃の為ですから仕方ありません!いいですね!?」 頬を染めながらあやせは言い切った。こいつ…どんだけ桐乃の事大好きなんだよ。 ちょっと引いてしまったが、両親が留守である高坂家に、援軍としてあやせが来てくれるのはありがたい。だから当然俺はこう答えた。 「よろしくな、あやせ」
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「ちょっと違った未来29」 原作IF 京介×桐乃 黒髪桐乃の過去編 ガタンゴトンガタンゴトン…。 「…」 「…」 朝からあたしと京介君は電車に乗って千葉に向かっている。あたしにとっては久方ぶりの故郷への帰郷であり、京介君もそのはずだ。 「…」 「…」 あやせがあたしと京介君の目の前から去って数日間…。彼女はあたし達の前に現れなかった。サークルにも来ていないらしい。激情のすべてをぶつけて来たあの日以来…彼女は一体どうしているのだろうか。 (…) あたしだってあれから心の整理が全く出来ていない。一体何を信じて何を疑えばいいのかまったくわからない。 あやせとのあの後、京介君からあやせの言っていたことを聞いた。あたし達がただの幼馴染みではなく本当は血の繋がった兄妹であるということが、彼女の言っていたことが正しいのかどうかを。 京介君は答えなかった。その代わり一回だけこくり、と首を縦に振っただけだった。 「…」 今日も長い一日が始まりそうだった。 ~~~ 「懐かしいね…」 「…ああ」 あたし達は今地元千葉にいる。そして今いるここはいつもあたし達がよく遊んでいた公園だ。時代が時代なのか、平日の昼間なのに今は誰もいない。いつも賑やかだった昔のこの公園を考えると少し寂しい感じがした。 たくさん遊んだなあ…。鬼ごっこにかくれんぼ、追いかけっこ。ジャングルジムの中に入っての捕まえっこ。それから…。 「ふふ…ここであの時京介君あたしの体におもちゃの聴診器当てて…」 「…やめろ」 そしてお医者さんごっこ。京介君は自分の行った過去の行動に恥ずかしくて耐えられないとばかりに顔を真っ赤にしてそっぽを向く。 「あの時あたしの体って他の子達より発育が良かったから…。ふふ、あの頃の京介君可愛かったなあ。あたしの体を触りながらお股をもじもじさせて…」 「からかうなよ…」 「でも…あの頃からあたしのこと女の子として見ててくれたってことだよね?」 「…」 ――俺は将来桐乃をお嫁さんにする! 子供だった当時。あたし達は何も知らない子供だった。何にも出来なくって、けれど何でも出来る気がして…。 彼の真剣なあたしへの告白。今でも大切に使い続けているこの彼からのプレゼント(ヘアピン)。 それをあたしはお姉さんとまで思っていたあの人を除いて大好きだったお父さんにもお母さんにも話さず、あたしの胸の中で温め続けていたのだった。 時を経るごとに無限と思われた世界が有限のものへと変質していき、すべての可能性に薄い闇の膜が覆われていった。自分に出来ること出来ないこと、自分に向いていること向いていないこと。そうやって自分に見切りをつけて夢という可能性に区別を入れて人は大人になる。 だけど…。 「ふふ…」 「…どうした?桐乃」 あたしの淡い初恋の思い出になる筈だった気持ち。初恋は絶対に実らないというけれど、それを考えれば神様の粋な計らいだとしか思えない。 「どうした?何を考えてる?」 「ふふ…。教えてあ~げない」 あたしは笑顔で京介君の顔を下から覗き込む。小さい頃もよくこうして上目遣いで彼の顔を覗いたものだった。 いつも笑顔だったおにいちゃん。今は無愛想な京介君。あの頃は子供特有の丸みを帯びた頬をしていたおにいちゃん。そして今は頬がこけ男性のシンボルであるひげを剃った後がある京介君。 「この…教えろ、桐乃!」 「きゃあ~~!!」 京介君はあたしの体を後ろから抱きつく。あたしは笑顔で彼から逃げようとする。 彼はあたしを後ろから優しく抱きしめ、そして…。 「ぁ…」 「…」 見つめ合う二人。彼の真っ黒な鋭い目の中の瞳孔が優しさに満ちていた。 「桐乃…」 「おにいちゃん…」 口づけへ…。彼の吐息があたしの唇にかかる。あたしは体をすべて彼に預け目を閉じた。そこへ…。 ぷにゅ 「ふぇ?!」 「く…ははははは!」 あたしの唇に京介君は指を当てていた。キスへの期待を裏切られたそんなあたしを見て…。 「ははははは!!」 「も、もう!」 京介君はおかしそうに笑う。そういえばそうだった。小さい頃も彼はこうしてあたしに期待させては罠を仕掛けて、罠に掛かったあたしを見て楽しそうに喜んでいたのだった。 「もう…!知らない!」 「はは…ごめんごめん。桐乃があんまりにも可愛いものだから…」 「ッ!」 おそらくあたしの顔はほっぺが焼けたように真っ赤に染まっていることだろう。そういえば彼はこうやっていつもからかって楽しんではこうしてあたしを可愛がってくれたんっけ…。 …そういえば彼は自分があたしをからかうのはいいけれど、他の男の子があたしを京介君と同じようにからかうといつもむすっと怒っていたんだっけ。話しかけても口を開いてくれない。それが怖くて悲しくてあたしが泣くとあたふたとして謝りながら慰めてくれたものだった。 「桐乃…」 「…」 そうして京介君はあたしの体を抱きしめながらあたしの耳元で、 「やっぱりおまえはいつまでたっても俺の妹だよ」 そう、後ろから愛おしそうにささやいた。 ~~~ 「ここが、今のあたし達の家なの」 「…」 今あたし達はアパートの前にいる。安い家賃で入れるぼろぼろのアパート。3人で生活するのでやっとの間取りだ。 「…」 …8年前のあの事件で意識を失い回復しても片足が不自由になったお父さん。当時あたし達はローンの組んだ一軒家に住んでいた。だけど生活に困窮し、その家と借りていた土地の借地権を家の抵当権ごと売り渡さなければならなくなったのだ。 「…ごめんね。こんなぼろぼろの家で…」 「…いや」 京介君に緊張の色があった。 それも当然だ。だって…。 ここまで話が進めば如何にあたしの頭でも大体の憶測がついた。 ピンポーン ドアホンを押す。旧型の、昭和の頃の古いものだ。そして、 「…久しぶりね。京介君」 中からお母さんが。そして奥にお父さんが不自由な片足を地面に置いて座りながらもこちらを見ていた。 「…お久しぶりです。佳乃おばさん、大介おじさん」 ~~~ 「ごめんねぇ。突然京介君も来るって桐乃から聞いたものだから用意が出来てなくって」 「…いえ」 お母さんは急須に緑茶を入れながら、 「大きくなったわね~?桐乃から聞いた時はまさか、と思ったけど…。こんな立派な青年に育って…」 「…」 お母さんは急須にお湯を注ぎながらも京介君を見ようとしない。だけど、それは見ないのではなく見ることがないのだ。だって今にもその目から涙がこぼれそうになっていたから。まともに見たらもう耐えられないのだろう。 「東京の工業大学に通っているんですって?立派になって…。将来は研究者か技術者にでもなるの?」 「いえ…。院には行かずに学部で卒業して家の家業を継ごうと思っています」 「まあ!」 「まだ何の権限もない若造ですから、最初は傘下の子会社の食品開発の現場まわりからですけど…いずれは…」 「あらあらまあまあ!立派になって!!…本当に…本当に立派になって…」 お母さんの肩が震えだす。 「げ、元気で…今も…元気で…い、いて…いてくれて…。あ、あたしは…あたしはそれだけで…」 持っていた急須からお湯がわずかにこぼれだす。体の震えが手まで伝わってきたから。 「…佳乃おばさん」 「ごめんね?こんなおばさんに泣かれたって迷惑なだけよね…。や~ね、年取るとどうも湿っぽくなって…」 「…」 京介君はそんなお母さんをじっと見つめていた。そこへ、 「母さん」 不自由な片足地面に置いて座っているお父さんが口を開いた。 「すまないが後で美味しい手料理も出してやってくれないか。せっかく久方ぶりに京介君が会いに来てくれたんだ。」 「ええ…そうね…あなた」 そうしてお父さんは京介君に向き直り、 「久しぶりだな、京介君。…こんなに背丈の大きな青年に成長して…」 「大介おじさん…」 「ふふ…なつかしいなその呼ばれ方。そうか…あんなに小さな少年だった京介君がなぁ…。時の流れというのは速いものだ…」 「…」 「それと、すまないな。大事な、それも久方ぶりに会う桐乃の幼馴染みを迎えるのにこんな無礼な格好で。どうか許して欲しい」 「いえ…こちらこそ…」 京介君は用意されていた座布団に正座で座る。 「それで…」 お父さんが口を開く。 「今日は私達に何か話があるのだろう?」 「…はい」 お父さんは不具合な足を投げ出し、背もたれにもたれながら京介君にそう聞いた。 「何かな?これまでの私達の、とりわけ桐乃の話かな?ふふ…うちの娘は親から見ても可愛らしい娘だが、少しそそっかしくてな…。そういえば京介君、君はもう彼女でもいるのか?広い東京なんだ、色々な出会いがあるだろうに」 「…」 京介君は答えない。目に暗い、しかし何かの決意の光が宿っていた。 そして…。 「大介おじさん。佳乃おばさん。いえ…」 京介君は居住まいを正し、 「お父さん、お母さん。今日は貴方達にお話を伺いたくてやってまいりました」 本当の両親に向けてそう呼んだ。 ~~~ 「…どこでその事を…」 何故知るはずのないことを…?お父さんとお母さんはそう口に出した。 「特別養子縁組、でしょう?」 お父さんは目を開いてびっくりしている。お母さんもだ。何故その事実を知っているのか?という疑問が寡黙なお父さんの顔に出ていた。 ――特別養子縁組 民法第817条の2―― 日本民法では817条の2を総則的規定として817条の3から817条の11までを法律上の要件、効果として定めている。 それは世界でも珍しい、成人してからの養子をも認める日本の養子制度においてもさらに特異な制度。 近大民法の知恵。 この法律を全く知らなかったあたしはこの後この事を詳しく調べたんだけど…。次のような概要らしい。 通常の世間一般で言う養子とは実の父母とは別の血の繋がっていない他人と親子の縁を結ぶことで親子関係が発生する。それは法律によって擬制される親子関係だが、当然法律上の扱いは実親子とほぼ同一である。血で繋がった親子関係か法で繋がった親子関係かの違いではあるが…これを普通養子縁組という。 しかし、この特別養子縁組は違う。これは実父母とは別にいる赤の他人である親と法律上も「実社会上」も血の繋がった親子とするものである。従って、養子縁組のスタートの日から赤の他人との「実親子関係」が始まり、本当の血の繋がった親とは親子の縁が終了する。 この特別養子縁組の立法趣旨は広く子供の福祉の為にあるという。よって、養子とされた子供は本来なら赤の他人である親を実の親であると思って育つし、本当の血の繋がった実の親の事を血の繋がらない他人だと思って育つ。当然、養子とされた子供にはこの事実は知らされない。そう、本来なら知ることなどないのだが…。 「そうか…槇島さんだな?」 「…はい」 お父さんはふう、と一つため息をついた。 「…槇島の義父に俺が16の孤児院を出る時に養子の話を持ち出されました。その時は俺の死んだ父さんの治療費の借金をどうしても自分の力だけで返したかったから、一度断りました」 「…」 「しかし俺が大学に入って20の頃…もう一度槇島の義父に呼び出されたんです。話はまた養子の件でした。しかし…」 お父さんとお母さんは京介君の顔をじっと見つめている。 「…俺の本当の父親は死んだ父さんではなく高坂大介という人だ、とその場で聞かされました」 「…」 「これは槇島の義父の温情でした。二十歳当時の俺は槇島との養子縁組に乗り気だったからです。これでもっと力が手に入ると思って…。だけど、義父は最後に俺に選択権をくれたんです」 「…」 「義父から16歳の俺に断られた後もずっと俺のことを養子にしたがっていたと聞きました。そして普通なら調べることの不可能な、俺の特別養子の戸籍を調べたんです。義父にすれば思いもよらなかったそうです。知り合いに裁判所に勤める裁判所書記官がいるそうなんですが、本当に軽い気持ちで念のために頼んだそうです。その人も試しに、と自分の官としての権限を使って裁判所のデータベースを開いて調べてくれたそうです。そしたら…」 「…おまえの養子縁組に対する家庭裁判所の裁判官による審判の記録が残っていた、ということか…」 「ええ。びっくりしたと言っていました。養親が二人とも死んだとはいえ、この子は実の父母がまだ千葉県に生きているのに孤児院に送られたのか、と」 「…」 お父さんもお母さんも目を伏せる。足が不自由でも決して気の弱いところだけは見せなかったお父さん。そのお父さんが本当に意気消沈として申し訳なさそうにしている。 「当時の俺は頭の中がもう無茶苦茶に混乱していました。どうしたらいいのかわからなかった。子供の頃いつも遊びに出かけていたあの高坂のおじさんとおばさんが俺の本当の父さんと母さんで、そして…」 桐乃と俺が、血の繋がった実の兄妹だったなんて。 そう、京介君は唇を噛み締めて呟いた。 「…」 「大介おじさん。佳乃おばさん。聞きたいことが二点あります。何故です?何故俺を特別養子として死んだ父さんに出したんですか?そして、そして何故俺のことを、」 身寄りがなくなったあの時に名乗り出て…もう一度家族として迎えてくれなかったんですか…? 「京介…」 それまで沈黙を守っていたお母さんが重苦しそうに口を開く。そこへ、 「いい。母さん。俺が話す」 「あなた…」 「これは俺に話させてくれ。元はといえば全て俺が悪いといってもいいことなんだ。それに…」 「…」 「それに京介には、今まで辛い思いをさせてきた…。京介には聞く権利がある」 「あなた…」 そう言ってお父さんは姿勢を正し、 「まず一つ目の質問から答えよう。おまえの死んだ父親におまえを養子とした件だ。当時俺は千葉県警で刑事をしていたのは知っているな?」 「…」 こく、と京介君は頷く。 「その時おまえの死んだ父親…先輩とは職場の同僚だったのだが、公私ともに仲良くさせてもらっていた。その時は彼の妻、おまえの死んだ義理の母に当たる人もまだ生きていた。おまえは知らないだろうな。その時おまえはまだ生まれていなかったから」 「…」 「この先輩刑事の夫婦には本当によくしてもらった。右も左もわからない若造だった俺はこの先輩に厳しい警察という巨大組織の中で、国民の生命と安全を守るという本当の意味での正義を教えてもらったものだ」 「…」 「しかしこの先輩夫婦には一つ悩みがあってな。…子供が出来なかったんだ」 「え?」 「子供に恵まれない二人は大いに悩んだそうだ。どうやら両方に共に生殖器に何らかの異常があったらしい」 「…」 「そうしている間に俺と佳乃さんとの間で子供が生まれたんだよ。それが…」 「俺、ですか…」 「そう。おまえだよ、京介。あの頃のおまえは手のかかる赤ん坊だった。ふふふ…懐かしいものだ。まるで昨日の事のようだ。仕事から帰ると真っ先にお前の顔を見に行ったものだ。当時余り普及していなかった育休なども使ったな。民間では使いにくいからな…。まあこれも公務員の特権というやつだな」 「…」 そこでお父さんはふう、と一度大きく鼻から息を吐いた。 「しかし、ある日子供に恵まれない先輩達から言われてな。京介くんを下さいませんか、とな」 「…」 「あのいつもお世話になっている先輩が深々と地面に頭を下げてだ。彼の奥さんも一緒だった。夫婦で揃って頭を下げられたよ」 「…」 「俺達だって彼らの気持ちは痛いほどわかった。俺も子供が出来た時の喜びを思えばおまえがいない時のことなどもはや考える事もできなかったからな。それだけ先輩達の熱意も我が事のようにわかったよ」 「…」 「俺と母さんは大いに悩んだ。何しろ初めてのわが子、一人息子だ。簡単に引き渡せるか。しかし先輩達も簡単には引き下がらなかった。そこで…」 「…」 「そこで仲介人として引き受けてくれたのが、田村さんの家の人達だった。もっとも、仲介人といってもそこまで仰々しいものではなく相談人といったところだが。田村さん達とは俺も佳乃も個人的に仲がよかったし、京介と当時一人娘だった麻奈実ちゃんが同じ年に生まれたとあって親近感もあった。田村さん達は麻奈実ちゃんを連れてよく我が家にも遊びに来てくれてな。その時に先輩達とも出会った」 「…」 「先輩達の京介を養子として引き取りたい、それも自分の「本当の息子」として、という話をすべて田村さんに話してな…。そこで色々なアドバイスをもらったよ。その相談の席は田村屋でしていたんだが、その時に田村さんの娘さんもいつもあそこに座っていたな。そしてその話し合いの結果…」 …まなちゃんが…。だからこの事を知って…。それであの時…。 「俺を…父さんの養子に?」 「ああ…。苦渋の選択だった。6ヶ月の試験期間の後、家庭裁判所から審判が下ってな。高坂京介の実子関係を終了しここに特別養子縁組の発生を認める、とな」 「…」 「その養子縁組の後に先輩の奥さん、おまえの義理の母になる人が事故で死んだ。病気でな。乳癌だった。当時まだ20台で若いから進行も早くてな…。すぐに帰らぬ人になったよ」 「そう、ですか…」 京介君は目線をじっと床に集めている。京介君…。 「もともとその先輩には身寄りがなかった。しかしまだ幼い子供のおまえがいる。これから一人で育てなくてはならない。そこで俺と佳乃さんが度々おまえの世話をしていたんだ」 「…」 「裁判所に見つかれば色々煩かったのだろうがな…。しかし養子として出したのにまた我が家に戻ってくるなんてな…。親子の縁は法律上は切れてはいるが血の縁は誰にも切ることはできない。先輩には悪いが嬉しいと言えば正直嬉しかったものだ」 「…」 「3年後桐乃も生まれ俺と佳乃さんは幸福の絶頂だったよ。先輩も幸せそうで京介も近くにいる。この日常がずっと続けばと…。だが…」 「8年前のあの事件…」 「…」 皆が皆、沈黙する。 あたしのお父さんは片足が不具になり京介君のお父さんは死に、そして何より彼のその後の運命そのものを大きく変えた事件だからだ。そしてそれに追い討ちをかける様な国家からの補償金の拒否。…もう何もかも星の巡り会わせが悪いとしか思えない。 「これが一つ目の質問の答えだ…」 「…そうですか」 京介君は軽く目を閉じた。今までの疑問に対する答えを整理しているのだろうか?彼の頭には様々な思いが反芻しているに違いなかった。 「では…二つ目の…何故俺の父さんが死んだあの時…」 「…」 京介君は悲壮感漂う顔で、 「何故あの時、もう一度親子としてやり直してくれなかったんですか?」 「…」 沈黙。お父さんは目を閉じている。お母さんもお父さんに寄り添っている。そして、 「…俺達に、お前を養えるだけのお金がなかったからだ」 「…え?」 京介君はお父さんを見つめる。 「本来ならお前に身寄りがなくなったその時点で特別養子縁組の解消が行われる。公益代表の検察官がな…家庭裁判所に取消を請求するんだ。だが…」 「…」 「だが俺達には資産がなくてな。あの事件による警察の補償金もない。桐乃もまだ小さい。そして俺は当時寝たり起きたりを繰り返していて今の状態に回復するまで相当のリハビリと時間を要した。おまえに全てを打ち明けると共倒れになる。…高坂家には何もなかったんだよ」 「…」 「家裁に請求する検事もさすがに無理だと判断してな…。民法817条の10の一項2号の「実父母が相当の監護をすることができること」に該当しないと判断された。検事もぎりぎりの解釈だったのだろう」 「そう、だったん…ですか」 「…すまない。それも今になっては全ては言い訳だな。俺達の経済的な困窮がおまえへの免罪符になるわけもない」 「…いえ。気持ちはわかります。だって…」 俺もそうでしたから…。 京介君は静かにそう口を開いた。今までの思いが再び去来しているのだろうか。 あの事件の後、孤児院へ送られた。その苦労はあたしには想像することすら憚られる。 お父さんも足の状態が今になるまで随分苦労した。京介君のお父さんであるおじさんと違って一命は取り留めたものの、それとこれとは話が別だ。不具の苦しみ、というのはなまじ生かされているだけ生き地獄にも感じるのだろう。 それをお父さんは生来の剛健な精神で持ち直し、愚痴一つあたし達に言わなかった。世間から見ればお父さんは単なる身体障害者で一社会的弱者なのだろう。だけどあたしにとっては、誰よりも強い、世界一自慢の父親だった。 「そうだったんですか…」 その日京介君は目を閉じたまま日が暮れるまで動かなかった。 ~~~ ガタンゴトン…ガタンゴトン…。 「…」 「…」 帰りの電車。あたし達は黙って電車の席に座っている。京介君はあたしの右隣で腕を組んで静かに目を閉じている。…冬だからか日が暮れるのは早く、辺りはすっかり暗くなっていた。 お父さん達の話を聞いたあたし達はあの後お母さんの作ってくれた料理を食べて部屋を出た。その時お父さんはビールを京介君に注ごうとしたが、あたしが京介君がアルコールが飲めない体質だと言うと残念そうにしていた。そして今は東京への帰りの電車の中。 久しぶりの実家とはいえ明日は大学の講義がある。彼との蜜月の日々に没頭するあまり学生の本分を随分おろそかにしてしまった。泊まっていくわけにはいかない。 「…」 京介君はあの後何も喋らなかった。実の父と母と思っていた人が実は赤の他人で、幼馴染の親と思っていた人が実の親で…。 彼の中では前から知っていたこととはいえ、こうして改めてその事実を突きつけられると忸怩たる思いがするのは当然だった。 (…) 彼の中ではどういう風に思っているのだろう?死んだおじさんのこと、お父さんのこと、お母さんのこと、それから…。 (あたしとの、こと…) もうどうしたらいいのかわからない。ずっと、ずっと好きだった彼が。あたしの存在のすべてといってもいいはずの幼馴染みの彼が。本当は…。 「ごめんな」 「え?」 静かに目を閉じていた京介君がそっと静かに呟いた。 「…」 彼はその後の言葉を告げない。あたしも聞き返せない。 そうしてあたし達を乗せた電車は光と人の溢れる東京へと運んでいった。 ~~~ 「…送ってくれてありがとう」 「…ああ」 ここはあたしのアパートの前。あの後東京についたあたし達はどこに寄るでもなくここまで無言で歩いてきた。 「…」 「…」 もう、何も交わせない。もう、二度と交わらない。 京介君が…大好きなおにいちゃんが…。本当は血の繋がったお兄ちゃんだったなんて…。 「…」 「…」 あたし達はもう二度と以前の関係に戻れないのだろう。 あたしは彼のことが今でも好きだ。愛しているといってもいい。けれどそんなことは世界が許さない。この健全な道徳と社会的良心に縛られた世界が、兄妹で愛し合うことを絶対に許さない。 「…ぅう…」 「…」 あれから色々なことがあった。ありすぎた。あやせにこの真実を告げられ、お父さん達にその真相を確かめ、そして…。 「うぐっ…うぇえ…」 「…」 涙がとまらない。どうしてなの。どうしてあたし達がこんな目に。 せっかく、せっかくあたしの生まれた時から育んできた初恋が、絶対に実らないと思っていた初恋が実ったと思ったのに。こんなのって…。 「うぐっ…えぇぇ…!」 「…ッ!」 涙を我慢しきれないあたしはおにいちゃんに強引に引き寄せられる。そして… 「ん…ふぁ…」 キス。涙と鼻水でぐちゃぐちゃのあたしの口の中に無理矢理舌をねじ込んでくる。 「桐乃」 おにいちゃんは抱きしめながらあたしの目を見つめて、 「最後に、一日だけ時間をくれ」 「…え?」 「俺達はこれ以上この関係を進めることが許されない存在だ。でも、でも…」 「…」 「…俺はおまえを手放したくない」 「…おにいちゃん」 真剣な目。真摯な表情。彼のあたしへの思いの丈のすべてが肌の温もりから、繋がった唾液から、その熱い吐息から、彼のすべてが伝わってくる。 「桐乃」 「…」 じっと二人は見つめあう。 「…最後に一日、おまえの時間を俺にくれ。そのうえで俺達の未来のことを真剣に考えよう」 「…おにいちゃん」 「いいな?」 「…はい」 彼にもう一度強引に舌をねじ込まれる。あたしは黙ってそれを受け入れ口内を彼の舌に蹂躙される。 胸に溢れる切ないあたしの思いでは裏腹に、どうしようもなくあたしの若い肉体は彼に発情していた。 …もう「妹」じゃいられない。 …そしてあたしとおにいちゃんの「最期」が始まったのだった。
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1290468634/241-245 つん、つん つん、つん 「…ん…なんだ?」 誰かが頬をつつく感触で目が覚める。 あれから桐乃の見事なハメ技で、どんどん弱っていく俺とは対照的に 黒猫は顔色が良くなっていった。ええと、確かそれからみんなで花火をして―― バンガローに帰ってちょっと横になって――、 どうやら昼間の疲れがどっとでたのか、すぐに眠ってしまっていたようだ。 それにしてもこんな夜中に誰だ?頬をつついていた張本人に目を向けた。 俺の頬をぼやけていた目の焦点が合ってゆき、次第に輪郭がはっきりし始める。 さらさらと気持ちよさそうな長い黒髪…吸い込まれそうな大きな瞳… 「うわ!く、黒猫!?」 「しーーーーーーっ!何時だと思っているの!」 って、それはこっちの台詞だろ!時計を見ると、まだ午前2時だ。 「なんだよ、こんな時間に。」 黒猫は正座したまま、「あの…えっと…」と何やら言い出しにくそうにモゾモゾしている。 いつもは雪のように白い顔が真っ赤に染まり、視線を合わせようとしない。 …おいおいおい、何だこの雰囲気。なんだこのドキドキする感覚。 も し か し て 誘 っ て い る ん で す か ? いやいやいや、そんなはずはないだろ!大体友人たちが寝てる部屋で誘うって、どんだけ淫乱だよ! 考えろ…考えろ俺…黒猫はをよく見よう。ええと、黒猫はというと、何かモゾモゾと太ももをこすり合わせてるな。 い や 、 ど う 考 え て も 誘 っ て る だ ろ ! いやいやいや、静まれ―静まれ俺のイリュージョン。よーく考えろ、熟慮だ熟慮…あっ! と、鈍い俺は、そこでようやく理解した。 「…ああ、トイレか。」 俺が落胆の声をあげると共に、黒猫がキッと俺に抗議の視線を向ける。 「…くっ!あなたって、本当に鈍くてデリカシーの無い男だわ!」 「わ、悪かったな…それで、俺に何の用だ?行ってこればいいだろう。」 「うっ、それは…ここの共用トイレは結構離れてたところにあるでしょう? だから…その…。」 そう言って、黒猫は顔を赤らめながら視線を外し、歯切れの悪い返事をする。 …ふふ、なあるほど。怖いから付いて来いという訳だな。 「ははーん、もしかしておまえ、怖いのか?あれ、闇の眷属とかなんとか言ってたのは―――」 「う、うるさいわね。誰の所為だと思っているの?あなたが昼間に散々水を飲ませたからでしょう?」 怖いなら怖いと素直に言えばいいのに。まあ、それが黒猫のかわいいところでもあるんだが。 「へいへい、分かったよ。」 俺はそういうと立ち上がった。 外はもうすっかり涼しく、虫の声があふれている。薄暗い街頭の光の中を黒猫と連れ立って歩く。 黒猫はと言うと、ビクビクと周りを注視しながら、俺の腕にしがみ付いてくる。 「お、おい…くっつき過ぎなんじゃないのか」 「…し、仕方がないじゃない。山の夜は冷えるのよ。」 ちくしょう…なんで怖がってる女の子ってこんなに可愛いんだ。しかも、ちょっと胸が当たってるし。 「全く、いつもはあんなに強気なのに。そんなに怖がるなんてまるで子供だな」 「…ち、違うのよ!これは怖いんじゃなくて――」 ガサガサ ガサガサ 黒猫&俺「ひっ!」 ヒョコ( ^ω^) 「…なんだ、内藤ホライゾンか。」 ( ^ω^)… ⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン 「……。」 ブーンと遠くなって良く内藤の後ろ姿を、無言で見つめるしかない俺と黒猫。 「…な、なんであんなvip臭い生物がいるのよ…」 「あの顔って、ミョーにむかつくよな…なんでだろな…」 「ほら、着いたぞ」 「わ…分かってるわ。じゃあ、あなたはそこで待っていて頂戴。絶対動かないでよ。」 「はいはい。怖いからって、途中で漏らすなよ。」 「莫迦!別に怖がってなんかいないわ!」 そう言うと、黒猫はそそくさとトイレに入っていった。あいつ、絶対怖がってることを認めないんだな…。 そこでちょっと悪戯心が働いた。こっそりどこかに隠れて、おどかしてみるか。 (おまけ) 黒猫「先輩、喉が渇いたわ。お茶を持ってきて頂戴。」 京介「へいへい。全く人使いの荒い後輩だぜ…」 黒猫「ちょっと待ちなさい。どこへいくつもりなの?」 京介「どこって・・・台所に決まってるだろ。お茶が欲しいんじゃないのか?」 黒猫「先輩、ちょっとそこに座りなさい。 あなたに今から言葉の裏の意味というものを教えてあげるわ。 人は言葉に色々な感情を込めるものなのよ。 だからそれをちゃんと理解しなくてはダメ。 とても大事なことだからちゃんと聞くのよ。」 黒猫「もし「先輩、お茶を持ってきて頂戴」と私が言った時に、 今の様にすぐさまお茶を取りに行ってはいけないのよ。 なぜなら私が「お茶を持ってきて」と言ったら、 それはすなわち私を抱き締めて頂戴という意味だから。 言い換えればそれは私にキスをして頂戴ということなのよ。 だから、もし私が「先輩、お茶を持ってきて頂戴」と言ったら、 あなたはすぐに私を抱きしめて、キスをするの。 それからお茶を取りに行かなくてはならないのよ。 わかったかしら? そう、わかったのね。 話はそれだけよ、先輩・・・・・・・・早くお茶を持ってきて頂戴。」 京介「・・・・」 おまけおはり
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comment_num2 test message. -- (名無しさん) 2011-08-28 16 16 21 カップリング別を見れるようにしてくださってありがとうございます。 -- (名無しさん) 2011-08-29 00 54 19 加奈子×黒猫と言うのも見たいです! -- (かなかなラブ) 2012-12-01 13 24 29
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286349444/30-35 「ねぇ、“先輩”?」 「んぁ? 家に来る前にどっか寄ってくか?」 ふと、何の気も無しに呼んでみた。 返ってくるのも気の無い返事で――面白くないな、と。 そう。 ……面白くない。 「どうかしたか?」 左にあるその顔を見上げると、相変わらずの気の抜けた顔。 どこにでもあるぼーっとしたというか、のんびりとしたというか、面倒臭そうというか……。 私が声を掛けたのに、私はその声に応える事無く……その顔を見上げるのみ。 「おーい?」 学校からの帰り道。 同じ学校の制服を着ての、帰り道。 いつもの面子での“遊び”でもなければ、私がこの人の妹に呼ばれたわけでもない。 この春から始まった“先輩”と“後輩”という関係。 そして、私の“趣味”と一緒に居てくれる関係。 でも。 「先輩」 「だから、なんだよ?」 この男は、その“関係”にすら、もう慣れてしまっている。 ……面白くない。 あの驚いた顔は何処に行った? ……はぁ。 視線を前に戻し、小さくため息。 「いや、何で溜息吐かれてんの俺?」 「気にしないで」 「普通気にするからな? 顔見られながら溜息吐かれたら気にするからな?」 「そう」 今度はどう呼ぼうか? 兄さん、は多分そう驚かないだろう。 前にも呼んだし。 もっとこう、意表を突いたモノが良い。 何と呼べば……。 「なぁ、俺の話聞いてるか?」 「聞いてるわ」 「そーかい。……はぁ」 また、見上げる。 困った顔。でも――――。 「なぁ、黒猫?」 「なにかしら?」 その目が、また私に向く。 眠たそうというか、面倒臭そうというか。 「ガッコか家の方で、何かあったか?」 「そうね――学校の方、かしら?」 ――この人はやっぱり、入り込んでくるのね。 どうしてこう、お人好しで、お節介焼きなのかしら? はぁ。 「どうしたんだ?」 「別に……少し、退屈してるだけよ」 「学校に刺激を求めてどうする……」 あら、そうかしら? 「刺激だけじゃないかもしれないでしょう? それに、学生としてその発言はどうかと思うわ」 「へぇへぇ。学校に楽しみ、ねぇ」 楽しみ楽しみ、と。 その声が小さく呟く。 ちょっと違うのだけれど、でもそう間違いでもない。 退屈、なのだ。 この人がこの――私が一緒に居る――この現状に馴染んでしまっている事が。 先輩と後輩。 しかも2学年も離れているこの“現実”にはありえない関係に馴染んでいる事が。 「部活の方じゃ、ないよな?」 「ええ。私の趣味、の方かしら?」 別に、部活に不満があるわけじゃない。 というか、現状にある意味満足――すらしている。 そう言えば、この人はどんな顔をするのかしら? 「そっか」 私からこうやって相談……とも言えないような事を持ちかけても、当たり前のように悩んでる馬鹿な人。 何でこの人は、こんなに馬鹿なんだろうか? はぁ。 「兄さん」 「んー?」 この人の家まであと半分。 通い慣れた――と思う帰り道を歩きながら、小さく笑う。 少し、楽しい。 ……退屈じゃない、時間。 きっとこの人は私が“何に”退屈しているかなんて、気付いてないんだろう。 そして、きっと気付かないんだろう――と、また笑ってしまう。 声に出さないように気をつけて。 私が楽しんでいる事を、この人に気付かれないように。 「退屈だわ」 「――よく考えたらなぁ」 「どうかしたのかしら?」 「お前が退屈だったとしよう」 「ええ」 そこで一呼吸。 「お前の退屈の解消法なんか俺が思いつくはず無いだろ!?」 「でしょうね」 だって、私とあなたは別人なんだから。 まったく。 「やっと気付いたの? 相変わらず馬鹿ね」 「ひでぇ」 「良い退屈しのぎになったわ」 「……お前、本当に後輩か?」 「あら、私が同い年か年上に見えるのかしら?」 見えねぇよ、と小さな呟きが耳を擽る。 ああ、楽しい。 「ったく、可愛げのねぇ後輩だな」 「まったく、面白味の欠片もない先輩ね」 「そこまで言うか!?」 クス、と小さく……本当に小さくだが、声に出して笑ってしまった。 「先輩を笑うもんじゃねぇぞー」 「う、煩いわね」 まったく。 この人は私の――この“ありえない関係”をどう思っているのだろう? こんな漫画かアニメ、ゲームの中のような関係を……どう思ってるのかしら? はぁ。 「お前も目上の人を敬わない奴だな」 「敬われるほど殊勝な人でもないでしょうに」 「さらっと酷い事言ったよな、今? な?」 「そんな事ないわ」 ええ、そんな事無い。 これでも尊敬――とまではいかないけれど、それなりに……ねぇ? ココロの中で誰かに呟き……顔を落として、苦笑してしまう。 だって、ねぇ? 自分で言っておいて、自分で否定してどうするのか。 だいたい、ココロからそんな事思いもしていないというのに。 尊敬はしていない。 でも、多分……頼りには、している。 「ねぇ、兄さん?」 「んあ?」 ふむ。 「これでも頼りにしてるのよ?」 「へぇへぇ」 あら、全然信じてくれてない。 「疑り深いのね」 「お前らのどこを信じろと?」 「信じてくれればいいじゃない」 それじゃ、痛い目見るのは俺だけなんだよなぁ、と。 そうね。 でも――それでも“私たち”は貴方を頼ってしまうのよ。 何度か頼ってしまったから、癖でもついてしまったかしら? 「困ったものだわ」 「困るのは俺の方だっての」 いいえ、私よ。 私の方なのよ? 本当に判ってないのね、このお馬鹿は。 「はぁ」 「溜息ばかり吐いてると、幸福が逃げるわよ?」 「わーってるよ」 クス、とまた笑ってしまう。 楽しいと、思ってしまう。 面白いと、思ってしまう。 学校には無い、皆で居る時にも無い、この人の家に居る時にも無い。 この人と“二人”の時の――。 「笑うなよ」 「はいはい」 退屈なんてどこにも無い時間。 そう言えば、何で面白くないなんて思ったのか……ああ。 「ねぇ、京介」 「…………はい?」 あら、面白い顔。 「相変わらず変な顔ね、兄さん」 少し、熱い。 うん――少し、だけ。頬が熱い。 「ん? いま」 「どうしたの、兄さん?」 「へ、あ……あれ?」 ふふ。 「どうかしたのかしら、この兄は」 「あー、いや、なんでもない」 そう。 トクン、と少しだけ高鳴るココロが心地良い。 この人の驚いた顔が、 照れた顔が、 悩んだ顔が、 ……ココロを揺らす。 「帰ったら何すっかなぁ」 「そうね……」 まぁ、二人でする事と言ったら――ほとんど決まっているのだけれど。 奥手と言うか、人並だというか。 結局私も人の子か――と。 「とりあえず、格ゲーで貴方を凹ますわ」 「とりあえずで凹まされるのか、俺は」 「ええ、良かったわね兄さん」 「良くねぇよっ」 ふふ。 「うは、Sだ。ドSが居る」 失礼な。 「私が虐めるのは、兄さんだけよ?」 「良い事言ってるつもりだろうけど、それ余計に最悪だからな!?」 また、小さく笑う。 笑ってしまう。 ああ―――― ――――この人と一緒に居ると、楽しいな。
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http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1342354795/269-274 「鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしているわよ。どうかしたのかしら?」 部屋の扉を開けたら可愛い彼女が普段は掛けてないメガネをつけていたら普通は驚くだろ。 それも黒フレームで若干の吊り目気味のキツ目のメガネ、レンズの度も入ってて 黒猫の真っ白な頬の輪郭がレンズ越しにちゃんとズレてるのはポイントが高いというかマジ興奮するというか! …いやいや、いきなり発情してどうする。 「やはり貴方はケダモノね。メガネ一つで発情するなんて度し難い畜生だわ」 「いや、発情とかじゃなくて!なんでいきなりメガネなんて掛けてるんだ? お前視力そんな悪くないだろ」 「はぁ…」 黒猫は溜息を一つつくと、俺の事をメガネ越しのジト目で睨みながら靴を脱ぎ俺のアパートの室内に上がり込んだ。 濃紺のセーラー服と膝丈のスカートの黒猫が俺の部屋にいる姿はなんというか、あまり現実感がない。 黒猫は趣味はちょっとアレで、かなりめんどくさいタイプの女の子ではあるが、客観的に見れば美少女の範疇にバッチリ入る訳で。 そんな女の子が彼女になってくれてる、というのはどうにも俺にとっても夢みたいな話なわけだがそんなことを考えてたら この黒猫さんはとんでもないことをしてきた。 っていうかそこは駄目!俺の秘蔵のアレアイテムの隠し場所のーー 「これは何かしら、先輩?」 黒猫はその中の一冊を表紙を俺に見せつけるようにして突き付けてくる。 「いや、これはその、引っ越し祝いに赤城がくれたモノでー」 「『メガネ巨乳オンパレード』へえ。先輩にそういう趣味があったとは知らなかったわ。 貴方への評価を変えたほうがいいかしら」 「いや別にたまたまこういう本だっただけで俺は別にー」 「貴方はそういう女の子と付き合いたかったのではないかしら。私ではなく。 あのベルフェゴールとか、赤城瀬菜のような」 黒猫の声の成分が冷たくなる。 何か痛みを堪えているかのような声。 あ。 そうか。 俺は理解した。何故黒猫がいきなりメガネを掛けてきたのかを。 ホントにめんどくさい。 この可愛くて、いじらしくて、中ニ病で打たれ弱くてやたら自己評価の低い女の子を抱き締めながら 俺は心の底からそう思った。 めんどくさいけど、だからといって黒猫の事が鬱陶しいとかそういうんじゃなくて、めんどくさいところすら俺にとっては愛おしいというか。 「い、いきなり、何をするのかしらーー」 言葉を全部言わせない。 そんな方法を俺は一つだけ知っている。 黒猫の頬を両手で押さえながらその中の唇にキスをする。 「あっーーんくっ--んっ」 不満げな声も、キスをしながら髪を撫でたり首筋に触ったり背中に腕を廻したりしてるうちにだんだん小さくなってくる。 あれ。なんか違和感があるな。 メガネか。 俺は黒猫の顔からメガネを外すと、自分のシャツの胸のポケットに入れる。いやだってまた掛けて欲しいからな。 「先輩…メガネ」 「お前なんか勘違いしてるだろ。こんなの掛けなくたってお前は可愛いんだぜ。 それに胸だって、お前が生で見せてくれるおっぱいのほうがこんなエロ本なんかより何百倍も興奮するしな」 「…っ」 俺の腕の中で真っ赤になってる黒猫は可愛い。超可愛い。 ただでさえ色白な肌が紅潮してるのは凄くエロ可愛い。 俺はそんな黒猫の真っ赤になった耳たぶに囁く。 「お前のおっぱいだったらどんな大きさでも俺は大好きなんだぜ? 別に俺はおっぱいと付き合ってる訳じゃないんだし。お前が優しくて、思いやりがある女の子だから 俺はお前の事が好きになったんだ」 「う…せ、先輩」 涙混じりの鼻声で黒猫が俺の名を呼ぶ。 俺はまた黒猫にキスをする。顔中至る所に。グスグスいってる鼻にも、涙が溢れそうな目尻にも、切なげに歪められた眉にも。赤い耳たぶにも、熱くなってる頬にも。 キスするたびに声にならない吐息を漏らす黒猫は可愛い。超可愛い。もう可愛いなんてもんじゃないね。 黒猫は俺のシャツの背中を必死に掴んでいる。そうしていないと立ってられないくらいに興奮してるのかも。 「先輩…先輩っ…」 黒猫の声のトーンが変わってくる。 コタツテーブルの上に腰掛けてる俺の両足の間には黒猫がいる。 四つん這いになって、俺の股間に唇で奉仕してくれてる黒猫は可愛い。 セーラー服を着たまま一心不乱に俺のアレを舐めてくれてる女の子が可愛くない訳がないじゃないか。 黒猫は俺の亀頭の先端に何度もキスをしながら、竿に手を添えて愛撫してくれる。 もう片手で玉袋をやわやわと刺激してくれるのも心地いい。誰に教わったんだ。いや俺だけど。 舌先で雁首をぐるりと舐め上げてくれる黒猫の熱い鼻息が俺の腹にかかる。 ゾクゾクするような熱い快感が腰の底から登ってくる。 「黒猫…早く咥えてくれ」 「…」 黙って頷くと黒猫は唇を俺の先っぽにあてがうとそのまま口の中に吸い込んだ。 その熱い口内で俺の肉棒が溶けそうなくらい気持ち良くなる。 思わず声が出そうになるくらい。 「う…ああ、いいぜ黒猫。すげえ、気持ちいい」 アレを咥えたまま上目遣いで俺の表情を伺う黒猫に俺は答えてやる。 サラサラの髪を撫でると嬉しそうに熱い鼻息を漏らす黒猫もう可愛い。
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http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1311182440/56-65 ・あやせ×京介 ・ヤンデレ描写あり ・微エロあり 『お兄さんに相談があります。いつもの児童公園で16時に待ってます』 女子高生とは思えない程、飾り気の無いメールの送り主は…あやせである。 比較対象の女子高生とは、加奈子の事なんだが、あいつのメールは装飾過多で最早何が書いてあるのか理解できない。 しかし、俺がメールアドレスを知っている身近な女子高生や、元女子高生は、むしろあやせ寄りなメールの方が多い。 テレビや雑誌の特集ってのは、嘘とまでは言わねえが、取材方法か報道姿勢に問題があるんじゃないか? まぁ俺にそれを確かめる術はねぇし、偶々俺の知り合いの女子が簡素なメールを送る傾向にあるだけかもしれないしな。 などとメールを確認しつつ、くだらない事に思考を巡らせながら児童公園へと向かう。 「よっ、あやせ」 「お久し振りです、お兄さん」 「しかし、あやせに呼び出されて、この公園に来るのも何だか久しぶりだな」 もう半年以上は経つのだろうか、黒猫との関係であやせに拒絶され、あれ以来なんとなく疎遠になってたんだよな… 俺も初めて彼女が出来て浮かれてたとはいえ、なんとも苦い思い出である。 「え、と…あやせ、それで相談ってのは何なんだ?」 「挨拶も早々に本題を切り出すなんて、昔の事を思い出してバツが悪くなったんですか?」 こえーよ!女ってこえーよ!いや、この場合、あやせが恐ろしいのか? この年頃の女子ってのは、異性の心の機微を感じ取る力が強いって誰かが言ってたけど、その物ズバリ当てられたよ! 「ふふ、冗談ですよ、お兄さん」 てへ、と自分の額を小突くジェスチャーをするあやせ。 ラブリーマイエンジェルあやせたん、やっぱり可愛すぎるぜ! そんなやり取りが、なんとなく昔に戻れたような錯覚を引き起こし、すっかり固くなってしまっていた心の内をほぐす。 あやせはそれを見越してこんな小芝居を打ったのだろか?いや、そりゃ考え過ぎか。 「それで相談なんですが、高校生になって、思ったよりも学校の授業が難しいんです。 今のところは、なんとかついていく事が出来ていますが、このままモデルのお仕事と、学業を両立できるか心配で…」 シュンとした様子で語尾を濁すあやせ。 確かに高校の授業ってのは、2学期に入った辺りから難しくなってくる。 俺の場合、部活なんかの課外活動は、ゲー研で文字通り息抜き程度にしかしてなかったが、あやせはモデル業との両立である。 もっとも我が妹である桐乃みたいに、趣味に部活にモデル活動もこなした上で、勉強だって出来るっていう完璧超人も居るけどよ。 まぁ桐乃の場合は、天才とかそうゆうんじゃなくて、並々ならぬ努力の上に成り立っている完璧っぷりなのだ。 もっとも以前の俺は、そんな努力を露程も知らずに、何かにつけて自分と比較される桐乃を疎ましく思っていた時期もあった。 そのせいで桐乃には寂しい思いをさせちまったが…もしタイムマシンなんてモンが有るなら、過去の自分をぶん殴ってやるね。 おっと、いけねえいけねえ、今はあやせの相談を受けてるんだから、あやせに集中しなくちゃな。 「じゃあ予備校…は、まだ早いか。塾とかはどうなんだ?」 「はい。塾も考えたんですが、モデルのお仕事の都合上、決まった曜日に授業を受ける形だと不都合がありまして…」 そりゃそうか、いくら塾に通って勉強したって、歯抜けで出席してたんじゃあ効果が高いとは言い難い。 「じゃあ、家庭教師を使うってのはどうだ?」 俺の提案にあやせの顔が、パァッと明るくなる。 「はい!実は、お兄さんが家庭教師をしていると聞いて、もし良ければお願いできないかなと思いまして」 満面の笑みを浮かべ、熱っぽく語るあやせ。 しかし何処で俺が家庭教師してるって知ったんだ? 加奈子から聞いたなら間違いなく桐乃が黙ってないだろうし…あ、そういやあやせは、麻奈実のヤツと仲良かったんだよな。 元々俺に家庭教師の話を持ってきたのは麻奈実なのだから、麻奈実から話を聞いていたっておかしくはないか。 まだ家庭教師歴一ヶ月強とキャリアには不安があったものの、無事に加奈子の成績が上がった事で気をよくしていた俺は 「ああ、俺でよければ力になるよ」 と、あやせの家庭教師も受け持つ事に決めたのだった。 「では、急で申し訳ありませんが、お兄さんの都合がつくのであれば今週の土曜日からでもお願いできますか?」 「ああ、土曜日は授業を取って無いから予定は空いている。じゃあ土曜日にお邪魔するよ」 「はい!じゃあ、時間は12時でいいでしょうか?」 「ん?お昼時か、じゃあ昼食は済ませて行った方がいいな」 「あ、いえ、急な申し出を受けて下さったお兄さんにお礼の意味も兼ねて、お昼をご馳走したいんですけど、駄目でしょうか?」 ラブリーマイエンジェルあやせたんの手料理ktkr!!! って願ってもないあやせたんの申し出ではあるが、そこまでお世話になってしまっても良いものなんだろうか? しかし、長らく疎遠になっていたあやせからの厚意を無碍にする方が失礼なのではないのか? せっかくあやせから歩み寄ってくれたんだ、ここは素直にあやせの手料理をご馳走になるとしよう。 「ああ、あやせの手料理楽しみにしてるな」 「え?私の手料理だなんて一言も言ってませんけど?」 満面の笑みで答えた俺に対し、きょとんとした顔で返すあやせ。 うわ、これは恥ずかしい。 まったくもって期待が先走った早とちりである。 「ふふふ、冗談ですよ、お兄さん。パスタを作ろうと思っていますが、お兄さんは好きなパスタありますか?」 本日二度目となるあやせの小芝居に踊らされる。 あやせのヤツしばらく会わねーうちに新しい技を覚えやがって…まったく末恐ろしい女だぜ。 「そうだな、丁度最近トマト風味の唐辛子が入ったマカロニみたいなヤツにはまってるんだ」 「ペンネアラビアータですね。解りました、楽しみにしてて下さい」 「おう、楽しみにしてるぞ。じゃあ土曜日の12時にお前の家に行くからな」 「はい、よろしくお願いしますね。せ・ん・せ・い・♪」 などと、冗談めかして言うあやせと別れ、帰路につく。 携帯を取り出し、時刻を確認すると、既に18時を回ったところだ。 我が家の夕食は決められた時間を逃すと、外食するものとして用意されないので早く帰らなくてはならない。 まぁどうせカレーなんだけどな…とひとりごちている京介の背中を見送る少女がポツリと言葉を漏らす。 「ふふふ…お兄さんってば笑顔と食べ物に釣られるだなんて、ホントチョロいんだから…」 「ここに来るのも久しぶりだな」 あやせの自宅を前にしてさほど遠くは無い過去に思いを馳せる。 思えば以前は全く信用されてなくて手錠をはめられたんだったな…って、まさか今回も手錠をはめられるんじゃないのか!? いや!期待してないからな!俺はM男じゃない!…と思う。 インターホンを押すと、すぐに玄関が開き、扉の奥からあやせがヒョコりと顔を覗かせる。 「いらっしゃいませ、お兄さん」 「よう、あやせ。お出迎えは有り難いんだが、インターホンを押してすぐに顔を出すのは流石に無用心なんじゃないのか?」 「ふふ、大丈夫ですよお兄さん。お昼御飯の下拵えを終えて休憩していたら、リビングからお兄さんの姿が見えたので玄関で待ってたんです」 と、満面の笑みを浮かべるあやせ。 「お、おう。そうか」 と、あやせとは対照的にぎこちない反応しか返せない俺。 だってしょうがないだろう?いきなりあんなに眩しい笑顔を向けられたら男だったら誰だってキョドるに決まっている。 「ささ、上がってください。パスタの方は茹でて和えるだけですぐに出来ますから」 「おう、じゃあおじゃまします」 リビングに通された俺は、案内されたダイニングチェアーに座る。 既にテーブルの上にはつけ合せと思われるサラダボウルとピッチャーに入ったグレープフルーツジュースだろうか?が並べられている。 カウンターキッチンの向こう側に目をやると、エプロン姿のあやせが鼻歌交じりに料理の仕上げに取り掛かっているようだった。 そういえば、あやせのご両親の姿が見えないが留守なのだろうか? まぁあやせの父親は代議士であり、母親もPTA役員をしているとの事だったので、土曜であっても休日とは限らないのだろう。 「おまたせしました」 「お、美味そうだな」 あやせの持ってきたパスタは、鮮やかな赤色をしており、取り分けてくれたサラダの緑と相まって非常に食欲をそそる。 それに高坂家の食卓では、カレーの茶色と御飯の白が色の大半を占めているため、感慨もひとしおである。 ふとあやせの方に目をやると、あやせの皿には黄色いオムレツが乗っていた。 「あやせはパスタじゃないのか?」 「はい、私は辛いのは苦手なのでオムレツとサラダをいただきます」 「そうか、手間をかけさせちまって悪いな」 「いえ、お兄さんに好きな物を食べて欲しくて作ったので、遠慮はしないでください。 それでは冷めてしまう前にいただきましょう」 「ああそうだな、いただこう」 「「いただきます」」 日本人が食事の前に行う、食べ物となった数々の命に礼を示す儀式を済ませ、さっそくパスタを口に運ぶ。 トマトの酸味と甘味、ピリリとした唐辛子の程よい辛味のハーモニーが素晴らしい。 箸休め代わりのサラダも瑞々しいサニーレタスや、程よく茹で上げられたグリーンアスパラがドレッシングとよくあっている。 「こっちのサラダも美味いな。これはなんてドレッシングなんだ?」 「刻んだ玉葱を軽く炒めた物にお酢と油を入れてお塩で味を調えて、刻みバジルを少しだけ入れるんです」 「凄いな!こんな美味いドレッシングを作ったのか」 麻奈実も料理の腕前はたいした物だが、洋食に関してはあやせの方が何段か上を行っているだろう。 出された料理に舌鼓を打ち、料理の感想や、学校での出来事など談笑していると、あっという間に食べ終わってしまった。 「はい、お兄さん。グレープフルーツジュースです」 「お、悪いな」 「グレープフルーツは、とっても体に良いんですよ。それにフルーツは脂肪になりずらいので体型維持にも向いてるんです」 と、女の子らしい説明をつけ加えてくれる。 グレープフルーツジュースも酸味が強すぎず、程よい苦味がアクセントとなっていて飲み飽きない味だった。 「それでは片付けてきますね」 「いや、ここまで美味しい料理をご馳走になったんだ。片づけくらい手伝わせてくれ」 「はい、では食器を運ぶのを手伝ってください。食器洗い乾燥機に入れるだけなので後片付けは簡単なんです」 ペロっと舌を出し「便利な世の中になりましたよね」と悪戯っぽく微笑むあやせ。 俺は、その赤に近いピンクの舌に思わず見とれてしまっていた。 後片付けを済ませたところで、リビングの時計が『ボーン』と一回なる。 「あ、13時になりましたね」 「お、そうか。じゃあ腹も一杯になった事だしささっと勉強しちまうか」 「はいっ」 あやせの部屋は、あやせの付けている香水の香りだろうか、石鹸のような甘い香りにつつまれていた。 『加奈子はてっきりモテナイ男が女の子の部屋に初めて入って、「ああ良い匂いがするなぁ」とか考えてるのかと思ったぜ』 不意に以前の加奈子の発言が頭の中でリフレインする。 あー、いかん俺は変態じゃないのだから女の子の部屋の匂いをクンカクンカする筈が無いのだ。 「え、ええと、あやせは授業方針とか希望あるか?」 頭を家庭教師モードに切り替え、授業方針を決める為、あやせに質問をする。 「たまに授業で解らないところが出てくるんです。今までは桐乃に教えてもらってたんですけど、桐乃も部活やモデル活動 がありますし、桐乃に頼ってばっかりじゃいけないなと思いまして」 「今は解らないところは無いのか?」 「はい、今のところは桐乃のおかげで特に理解できていない部分は無いと思います」 確かに些細な事でも理解できない部分を放置すると、積もり積もって後になったら手を付けられないって事にもなりかねない。 今のところ特に理解できていない部分は無いだろうという事ならば、例の麻奈実印の問題集「改」(俺が授業進度に合わせた) でも解いてもらって、あやせの実力を確認させてもらうとするか。 「よし、じゃあ確認の意味も込めて、この問題集を解いてくれるか?」 「はい、わかりました」 さっそく真面目に問題に取り組むあやせ。 加奈子も今でこそ真面目に取り組んでくれるが、最初は問題集に取り組む事さえ嫌がってたからな。 お、やっぱりそこで詰まるか、そこはちょっと応用なんだよな。 などと、あやせが問題集のプリントにシャーペンを走らせているのを眺めていると、満腹になったせいなのか強烈な睡魔が襲ってきた。 いやい…や、まてまて、家……庭、教師が居眠りし、てちゃあ洒落になら…、んだろう… ピチャ…ピチャ…チュル…チュプ… ん?なんの音だろう、頭もボーっとする…股間もなんだか温かくて気持ちが良い… 俺はいったい何をしていたんだったか… 寝起きで朦朧としている意識を呼び起こし、記憶を整理する。 あやせの家庭教師に来ていて、突然眠くなって…?ってしまった「すまんあやせ!」 「ガチャッ」 飛び起きようとするが両手が何かに遮られて起き上がることが出来ない。 視線を上に向けると、ベッドの上で万歳をするような格好で、両手首には懐かしい鈍い光を上げる金属のリングがはまり そのリングのツガイは、ベッドのポールをやはりリングで拘束している。 「ン、フッ、チュパ、ペロ…あ、お兄さん目が、ンフ、覚めたんですね、チュル…アハ…」 声のした方向に目を向けるとそこには、俺の股間に顔を埋め、リヴァイアサンにうやうやしく舌を這わせるあやせがいた。 「ちょっと待てお前!一体何をしてるんだ!」 「何って…チュル、お兄さんのペロ、おちんちんを舐め…て…チロチロ、るんですよジュププ」 そう言い終えるやいなや、あやせはリヴァイアサンを深く口の中に咥えこむ。 股間から背骨に向かってぞわぞわと這い登ってくるような未知の快感と、突然の出来事に頭が真っ白になる。 「そうゆう事じゃ無くてだな、こうゆうのは、夫婦とかカップルがする事だろう!」 あやせから与えられる心地よい刺激に耐えながら思考を纏め、精一杯の正論を吐く。 「プハッ、お兄さん、性交渉というのはカップルや夫婦でなくても出来るんですよ」 物理的に可能である…と、反論を述べながら、今度は手でリヴァイアサンを何度も繰り返し扱き上げる。 「それに、お兄さんのこれ…ピクピクしてきましたよ?ウフフ…気持ち良いんですよね?」 「そ…れは…クッ」 事実俺は、あやせの美しい手で優しく扱かれる事に快感を覚えており、反論の言葉を紡ぐ事が出来ない。 しかし、俺は桐乃と約束したのだ。 お前が彼氏を作るまで、俺も彼女は作らない…と。 であれば本来、彼氏彼女が行うべき行為をするという事は桐乃を裏切る事になるのではないか?と。 そうだ、俺は桐乃の笑顔を守る為にも桐乃を裏切るような事は出来ない。 両足は自由であるが、あやせに乱暴な事をする訳にはいかないし、仮にあやせを蹴り飛ばしたところで両手は拘束されている。 ただでさえヤンデレの気のあるあやせだ、激昂したあやせに首を刎ねられ、鞄に入れ持ち歩かれるというnice boatな結末は避けたい。 「それでも俺はこういった行為は、好き合っている同士でないと駄目だと思うんだ。なぁ、あやせ…今ならまだ引き返せる。 それにお前だってこんな形で結ばれたって嬉しくなんてないだろう?」 不意にリヴァイアサンを握るあやせの手が離れる。 「あやせ…お前が何を思いつめてこんな行動に出たのか解らない。けどよ、俺h…グァッ!!」 あやせがリヴァイアサンを強く握った為、思わず情けない声を上げてしまう。 おいあやせ…それは洒落にならん痛みだから勘弁してk… 思わずモノローグの声さえも失ってしまう光景、あやせは光の無い目で 「嘘………それは嘘…嘘嘘嘘嘘嘘嘘!嘘吐かないでよ!」 「だってお兄さん、私に結婚してくれって言ったじゃない?私に結婚してくれって言ったでしょ?私に結婚してくれって言いましたよね!?」 「それをあんな泥棒猫の色香に惑わされて…それに私、お兄さんの事好きだったんです、いえ、今でも好きなんです…」 「だからお兄さんから結婚してくれって言われて凄い嬉しかったんです」 あやせは俯き嗚咽を漏らし、俺の腹部にあやせの涙が落ちる。 「でももし、私の想いが叶ってお兄さんと付き合う事になったとしたら、桐乃が悲しむんです!」 「私の大好きな桐乃が笑ってくれなくなるんです!」 「嫌………そんなの嫌…嫌嫌嫌嫌嫌嫌!嫌なんです!」 あやせは顔をあげ、あやせの顔にふわりとした笑みが戻る。 「でも私気付いちゃったんです。私も桐乃もお兄さんの事が好き。いえ、愛していると言っても良いです」 「そして私は、お兄さんの事も、桐乃の事も同じくらい好きなんです」 「お兄さんが私の事をまだ好きで居てくれてるならお兄さんと、桐乃と私…3人が幸せになれる方法を一緒に探してください」 ふいにあやせの顔が近づいてくる。 あと少しでキスをしてしまいそうなほど近い。 「ですから今からする事は、お兄さんが私の事をもう好きでないなら、私を騙したお兄さんの罪に対する罰です」 一体あやせは何をしようとしているのだ? 確かにあやせの言うとおり、俺のセクハラ発言であやせを傷つけた。 あやせが俺に対して罰を与えたいというならば甘んじて受けよう。 「そしてもし、お兄さんが私の事を好きだというのなら」 あやせがふぅっと息を吐き、そして 「んっ!あぁっ!」 あやせの叫びとともに、突然リバイアサンを温かい肉を分け進むような快感が襲う。 「は…あぁ…、3人が幸せになれる方法を探す約束をした契約の証です」 リヴァイアサンをあやせのヌラリとした肉壁がひくひくと撫で付ける。 あやせがゆっくりと腰を上げると、リヴァイアサンにあやせの破瓜の証である鮮血がこびりついているのが見える。 そしてあやせが腰を落とすと、リヴァイアサンは再びあやせの膣内に、プチュリという音を立てて飲み込まれる。 あやせと繋がっているという感覚と、あやせの上げる悲鳴か嬌声か解らない声が、絶え間なく俺の脳髄に快感という電気信号を送る。 いったい何十秒、何分が経過しただろうか。 目の前で起こる幻想的な光景に俺は時間という感覚を手放していた。 しかし先程まであやせの執拗な愛撫を受け続けていたリヴァイアサンが長持ちする筈も無く、いななきを上げ始める。 「お、おい!あやせ、もう出ちまう!どくんだ!」 しかしあやせは妖艶な光を瞳に宿し 「いいえ、駄目です。どきません」 と口を開くと、激しく腰を前後に揺らし始める。 あやせの陰毛と京介の陰毛が絡み合うほどに密着し、リヴァイアサンの頭にコリコリと子宮口が当たる。 「ふぇ!?え…ハァ、アァ!これ何?え?アァン、私…私…初めてなのに気持ちウ…ハァ!良いっ!」 あやせは破瓜の痛みに悩まされながらも、自らが主導権を握る体位の為、本能のまま快感を得られる動きを模索していた。 「クソッもう出ちまう!」 「キャッ!?アッ!アッ!アッ!ンッ!アァッ!アンッ!ハァッ!」 最初はされるがままだった京介も射精感が高まるにつれ、あやせに釣られ、下からあやせを突き上げるような動きをし始める。 「出すぞ!あやせ」 「は、ァい、お兄さんッ、の精液、アァンッ!私に下さいっ!」 あやせの最奥でぴたりと留まったリヴァイアサンから白い粘性のブレスが吐き出される。 「あぁ……はぁ…、お兄さんのピクピクしてます…」 「クッ…はぁ、しょうがねーだろ、男ってのは射精する時はこうなるもんなんだよ」 ハァ、射精したとたんに冷静になってくるとは、俺も現金なもんだ。 これが俗に言う賢者モードってやつなのかね。 息も絶え絶えといった様子のあやせが俺の胸へと倒れこんでくる。 胸に当たるあやせの吐息と、呼吸によるわずかな上下で鳩尾のあたりに当たるあやせの乳首がくすぐったいな等と思いつつも あやせになんと声を掛けるか考える。 「なぁ、あやせ…お前には随分と辛い思いをさせちまったみたいで本当に申し訳ない」 俺の体の上で、あやせの体がピクリと硬直する。 「けどな」 あやせの体がさらに強張る。 「これからは一人で思い悩むんじゃねえ。俺達は、その幸せを探す契約したんだからよ」 強張っていたあやせの体から力が抜けたと思うと、あやせがウルウルと涙目でこちらを見つめてくる。 「え?それじゃあ…」 「ああ、俺もあやせの事が好きだ。お前が俺や桐乃を想ってくれてるのと同じようにな」 俺の首に抱き付きキスをしてくるあやせ。 「おいおい、キスは嬉しいけど、そろそろこの手錠外してくんねぇかな?いい加減手首が痛くなってきた」 「あ、はい…ごめんなさい」 しゅんとなりつつも手錠を外してくれるあやせ←カワイイ 手錠を外し終わり、あやせが潤んだ瞳でこちらを見つめてくる。 ああ!もうやっぱラブリーマイエンジェルは可愛すぎて、最高に「ハイ」ってやつだぁぁぁぁ!!! その後、あやせとキスして乳繰りあっていたら俺のリヴァイアサンが元気を取り戻し第2Rに突入したのは言うまでも無い。 01 02